レバレッジ商品の話になると、なぜ場が荒れるのか?

(こちらの記事は、162日目の連続Tweet をまとめたものです。)

実況「本日もお便りいただいています。レバレッジ商品を買う際には、どう買うのが良いでしょうか?」

解説「それ先日、億円選手が語っていたやつじゃないですか」

実況「明らかに上昇相場と思える時にタイミングを限定し、かつ、利確と損切りのルールを決めて、システマティックに運用すると言っていましたね」

解説「個別株のような運用ですね。上昇相場には強い商品ですが、下落と横這いを挟むと上昇効率が著しく下がるおそれがあります」

実況「買うならコロナショックからの回復期のようなタイミングで買うのが良いということですね」

解説「はい。FRBの量的緩和による回復が見られる時期でしたから、その中で利確と損切りのルールに従いながら動くのが良いと思います」

実況「成長をまるっと取りに行くのではなく?」

解説「いつまで成長が続くのかは見通しが立ちません。なので、あくまでもイメージですが、右肩上がりの全範囲を取るのではなく、一定のところで利益を取っていくような方法ですね」

実況「利確の回数が増えると、こまめに税金を取られるので、再投資額が減って投資効率が下がります」

解説「そうですね。なので、利確と損切りのルールは自分で納得できる範囲で決めるのが良いでしょう。個別株をやっている方にはお馴染みの話ですね」

実況「長期投資には向かないのでしょうか」

解説「右肩上がりが長く続けば、長期投資にも向きますよ」

実況「期間ではなく?」

解説「長期投資と言った時、人によって想像する期間って違うんですよ。数年と思う人もいれば、数十年と考える人もいます。定義が曖昧な言葉を使って議論すると、話の軸がブレがちです。どの期間でもいいんですが、上昇局面にうまく寄り添う運用を目指すのが、傷は小さくて済みます」

実況「なるほど。上昇局面に強く、他の局面に弱いことは事実なので、強い局面に集中した運用をしろというのが億円選手の考え方なわけですね」

解説「はい」

実況「わかりやすい話だと思うんですが、レバレッジ系の話って荒れがちですよね。なぜでしょうか?」

解説「ものの感じ方の違いですね」

実況「感じ方ですか」

解説「億円選手は事実に基づいて確率の高い行動を取る傾向があるので、レバレッジ系商品を買うなら、上昇局面に絞るべきと考えています。これは同時に、利確と損切りの閾値を超えた値動きについては、自身のリスク許容度を超えていることを示します」

実況「なので売ると」

解説「はい。ですがリスク許容度は個人によって違いますよね」

実況「詳しくはこちらのブログ記事をご覧ください」

リスク許容度とは?
https://1minvestment.blogspot.com/2022/01/blog-post.html…

解説「よく見かけるのは、テック企業やナスダックの長期成長を信じるから、レバレッジ商品も長期保有という言説です」

実況「確かによく目にします」

解説「そのような方のリスク耐性は、億円選手より高いわけです。億円選手は、横ばいと下落局面から来るダメージを最小限に抑えるべきという考え方。長期保有派の方は、多少の減衰があったとしても、トータルで考えれば大きく成長するという考え方なので、億円選手が気にしている部分が気になりません」

実況「気になっている人もいるように見られます」

解説「それは残念ながら、自分が取った行動に対する事前の分析が足りていなかったのか、それとも心理的なリスク耐性が想定より小さかったことを自覚したのかだと思います。良い勉強として次につなげれば良いでしょうね」

実況「ここまでのお話を聞いていると、上昇に寄り添いたければ個別株的運用、その手間を取りたくなければ購入を見合わせる、横ばいと下落が気にならないなら中長期にわたって保有と、明確に3タイプに分かれそうですね」

解説「運用にかける時間と手間が取れないなら、買わない方が良いでしょうね」

実況「2倍が良いのか3倍が良いのかといった、最適レバレッジもよく話題にのぼります」

解説「それはμとσを何のデータに基づいて設定するかで数値が変わるので、解が一定ではありません。なので、何倍が良いかという議論よりも、上昇局面を捉えることや、入金力の向上に集中した方が良いでしょうね」

実況「ここまで聞いていると、リスク許容度に基づいた各人の考え方で違う行動を取れば良いだけのお話に聞こえるのですが、割りと荒れがちなのはどうしてでしょうか?」

解説「言葉の選び方と、違いに対する許容度、あとは嫉妬でしょうね」

実況「3つですか」

解説「前者2つは同時に発生しがちです」

解説「例えば、以下のような会話を見てみましょう」
  • A「レバレッジ商品は横ばいと下落に弱いので、上昇局面でのみお金を入れるべきで、こまめな利確が必要です」
  • B「でもIT企業やナスダックは長期的に成長しますよ?なので長期投資でいいです」
  • C「私長期で+300%です」
実況「日常の風景ですね」

解説「良くないコミュニケーションで煮詰めてみたつもりだったのですが」

実況「言葉遣いがまだ荒々しくないですからね」

解説「精進します」

実況「しなくていいと思います。良くない部分の解説をお願いします」
  • A「レバレッジ商品は横ばいと下落に弱いので、上昇局面でのみお金を入れるべきで、こまめな利確が必要です」
解説「Aさんの発言の前半は事実ですが、後半はAさん自身の考えなのに、客観的な事実のように断定しています。考え方が違う人からすると、押し付けがましく聞こえて反論したくなります」
  • B「でもIT企業やナスダックは長期的に成長しますよ?なので長期投資でいいです」
解説「IT企業やナスダックの成長可能性は高いと多くの人が考えていると思いますが、事実と同一視するのは希望的観測が強過ぎるように聞こえます。現在主流のGAFAMが没落しても、次の企業群が台頭し、それがナスダックに組み入れられるから長期成長が見込める、と言いたいのだと思います。後半の、長期投資でいいですという部分からは、Bさんは横ばいと下落のリスクを許容できる耐性の高さ(あるいは低さへの無自覚)が感じられます。Bさんも、自分の主義主張を断定的に述べているので、自分はそういうスタンスであるという言い方ではなく、長期投資をするのが正しいのだ、という言い方に聞こえてしまっています。Aさんの言い方を否定しているのか、Aさんのスタンス自体も否定しているのかは、わかりませんが」
  • C「私長期で+300%です」
解説「Cさんラッキーでしたね。皆で祝福すれば良いと思います。一方、Cさんの数字から読み取れるのは、長期(期間は不明ですが)にお金を入れて放置しても力強く増える幸運な期間があった、ということだけなので、その手法が恒久的に正しいことの証左にはなりません」

実況「嫉妬というのは?」

解説「状況が様々なので一般論になってしまうのですが、まず最初に言えるのは、自分がやっていない方法で他の人が大きく成功すると『ずるい!』って思う人は一定数いますよね」

実況「確かにいそうです。レバレッジ商品を買っている人への嫉妬ということですね」

解説「はい。コロナショック後には特に好調でしたから、それを妬む人もいたかもしれません、ただ……」

実況「ただ?」

解説「個人的な意見ですが、他の人が儲けたという事実に対してよりも、それを見せつける振る舞いに対して攻撃的なリアクションを取る人が多いような気もします」

実況「『○○最強!』みたいな言い方でしょうか」

解説「そこから『○○をやっていない人は情弱』みたいな方向に行くと、諍いの元になると思います」

実況「『こんな投資をしているなんてこいつ馬鹿じゃね?』みたいな言説はどう説明できますか」

解説「例を絞らないと話が茫漠としてしまうので、『下落と横ばいに弱いのは事実なのに馬鹿じゃね?』と言った人がいるとしましょうか」

実況「すごい勢いで喧嘩売ってますねこの人」

解説「この人が言っていることは半分合っているかもしれなくて、半分間違いだと思います。この人自身はレバレッジ系商品の特性を学習し、横ばいと下落を避けたいと判断しました。ですが、それを許容できるリスク耐性の高さ(心理的・金銭的)を持っている人がいる可能性に気がついていません」

実況「金銭的?」

解説「千億持っている人にとっての一千万円とか」

実況「なるほど。それが半分間違っている方だと。もう半分は?」

解説「リスクを十分に吟味せず、希望的な観測だけでレバレッジ系商品に投資し、なおかつ、その正当性を声高に喧伝している人もいると思うんですよね」

実況「本当に考えが足りなかったというパターンですね」

解説「なので、単に嫉妬というのは少し実情とズレる気がしていて、上記の2つのパターンのどちらでも、自己と他者への理解不足による攻撃的な言説、という気がしています」

実況「なるほど。レバレッジ商品を買っている人たちからの嫉妬にはどういうものがあるのでしょうか」

解説「これも様々ですね。そもそも、さっきの例のような攻撃を受けない限り、好き好んで『おっ、レバレッジをかけていない低能諸君、今日も元気に加速しない平凡な日々を邁進しているかね?ん?んん?』みたいなことを言う人っていないと思うんですよ」

実況「めっちゃ煽ってきた」

解説「なので、ごく一部の性格の悪い人を除けば、そんな攻撃的な話をする人っていないと思うんです。それよりは、例えば『この商品の弱いところはこれだけど、自分はそれに対してこうする』みたいな議論をせずに、そこから目を背けているように見える人たちの言説は反感を買いがちだと思います」

実況「なるほど。例えば下落相場の際に、これはレバレッジ商品にとってダメージが大きくなる局面だけれども、自分のリスク耐性の範囲内なのでまだ持ち続けられる、であったりとか、こういうルールで利確・損切りしてダメージ回避すると述べるのではなく、盲目的に映る行動が他者の反感を買うと」

解説「はい。本当に無理解な人もいれば、理解はしているけれども人生逆転させたくて賭けている人もいるのだと思います」

実況「老後ではなく今お金持ちになりたいという気持ちですか」

解説「老後でお金がない人も含まれると思います」

実況「ものすごくリスクを取っていませんかそれは」

解説「取っています。なので、レバレッジ系商品をわざわざ買っている人たちが大きく儲けたら、それはその人達が取った、より大きなリスクの対価なので、祝ってあげるまでいかなくても、妬むべきものではないと個人的には思います」

実況「なぜそう思うのでしょう?」

解説「それを妬むのを許容してしまうと、投資をしていない人が、投資家ばかり儲けてズルいと妬むことを許容することになってしまいます」

実況「投資家はリスクを負っているのだから、そのリスクを負っていない人たちにずるいと言われるのは不合理だという意見はよく耳にします」

解説「自家撞着です。働き手が減って高齢者が増える日本では、皆が投資で儲かることは国としても望ましいことです」

実況「もっと自身と他者への理解を高めて、言い方を気をつけようという、義務教育で教わりそうな結論になってしまいました。おっ、今夜の基準価額は+153円です!それではまた!」

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